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連載⑨



第九回 「和田竜という人物と脚本」 その①


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3人のクリエイターが揃うまでの経緯でも書きましたが、

和田さんにはじめてお会いしたのは2004年の6月

その頃彼は文筆業のプロではなく、

一般企業に勤めるサラリーマンでした。

たまたま彼が務めていた会社がその頃の当社と同じ五反田にあり、

スーツ姿で通勤途中の彼にお会いするなんてこともありました。

サラリーマンをしながらオリジナルの

あれだけの大作の脚本を書くという作業が

どうやったら可能なのか想像できなかったので、

お会いして間もなくの頃、

和田さんにそれをお聞きした事があります。

土日ごとに舞台となる埼玉県行田市まで行き文献を読み、

平日は会社勤めの後、

夜中にコツコツと脚本を書いていたとのこと。

それがどれだけ大変な作業かは皆さんも想像が付くと思います。

そうしてまで自分の作品を作るんだという意志

そして欲求がその頃の和田さんにはあったということでしょう。

とにかく脚本に関しては頑固とも言えるほど

明確な判断基準を持っている人です

(ていうか、頑固ですね、つまりは)。

当然ですが2005年以降、

数えきれないほどの打ち合わせをしてきました。

城戸賞を受賞した脚本は既に完成されたものでしたが、

まず監督が入った段階で当然修正作業が入ります

そもそも城戸賞受賞版を映画にしたら

3時間になってしまうという問題もありました。

そして映画製作の常ですが、予算やスケジュール、

ロケーション等の現実的な色々な環境にアジャストするための

修正作業も必要になってきます。

その打ち合わせの際の態度もまた独特です。

声を荒らげたり失礼なことを言うということはないのですが、

その場にはなんとも言えない緊張感が漂います。

その佇まいはまるで野武士(笑)。

「それは出来ないな」とバッサリ切り捨てられることもしばしば。

とても映像化された脚本が一本もない新人とは思えない態度です。

また即答を極力避ける。

熟考に熟考を重ねるタイプですね。

時間がある時はまだ良いのですが、

撮影直前の場合などその待たされる一日が、

演出部や制作部にとっては死活問題だったりもします。

そう言う意味では本当に迷惑な人でした

その割に打ち合わせの際、

紺のスーツに赤いマフラーなんぞしている時もあって、

冗談で「それ、彼女からもらったの?」と聞いたら

「そうです」と真顔で答えられたりして、

「やっぱり現代の若者なんだな」と妙にホッとしたこともありました。

そんな彼も小説が出版され、ベストセラーになり

ついにサラリーマンを辞めます。

その頃からファッションも変わっていきました。

当たり前ですがスーツ姿では無くなるのです。

すっかり青年作家然とした今の和田さんもかっこ良いのですが、

僕としてはかつてのサラリーマン姿が懐かしくもあります。


(つづく)

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